パートナーシップを見ていてよくぞその人にこの人が、と神さま仏さまの配材かと思えてしまう組み合わせがある。自分の中では武田泰淳と武田百合子、荒木経惟と荒木陽子、桑田佳祐と原由子、西村博之と植木由佳(敬称略)、などなど。
なんとなく例に挙げてみたのが夫婦(男女)ばかりになってしまったが、自分がいいなと思うカップリングのキーは圧倒的に妻(女性)側による所が大きい。芸のためなら女房も泣かす、とばかりに夫側の芸術的エゴの影に存在を隠されるような関係ではなく、妻自身が人生を存分に楽しんでいて、夫自身が妻の存在を過小評価せずその等身大のキャラクターを大切にしているのだなぁと思えるような。
また殊更に自分たちの関係をソウルメイトだのツインレイだのというような言葉でわざわざ大げさに塗り固めたりすることもなく、ただ自然体に一対としての信頼関係がそこにあると傍の人にも伝わってくるようなパートナーシップってたまにある。夫婦のことなんて当事者以外には分からないものだし、こちらの勝手な理想像なのかもしれないけど。
山口晃氏(以下ガハク)が描くところの’カミさん’である梅村由美さん。なかなか愉快な為人であることは「すずしろ日記」からも十分に察せられるが、その方の書いた文章。画伯との生活における「食」について、基本淡々と描いているだけなのだけれど、これがなんともいい夫婦だなぁ…と口元が綻んでしまう感じ。ガハクのイラストとも相まってまさに「裏すずしろ日記」。

食通というのとはちょっとまた別の、ガハクの食への独特のこだわりのある部分にはかなり親近感を覚えるのだけれど、それでもこれに合わせるのは結構大変な部分もありそうだなとは思う。対するカミさん側も決してお料理任せてのタイプではなく、結婚して初めて実家から出た当初は食材の成分調査サンプルのように料理した食材をそれぞれ一品一品白いお皿にバラバラに出したりで味はともかく盛り付けもへったくれも…というところからのスタート。むしろ一人暮らし経験者のガハクの方が料理の腕は上だったにも関わらず、その後の忙しさの度合いからカミさんの方がメインで料理の担当になっていって、ほとんど籠りきりでひたすら制作というガハクの生活の心の支えの「食」を請け負う日常の記録。仕事の合間のおやつがヒットだと「あらーすてき」とか、喜びの声がなんだかちょっとオネエ言葉っぽくなってるガハクもまたいい。


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