前著『読みたいことを、書けばいい』読了後にすぐ探しに行って読む。
本作は田中泰延氏と編集者今野良介氏とのダイアローグ構成での「会話について」の本で、数年前の疫病禍でのリモート・オンライン一色になった時期を途中に経て出版されている(2021年9月初版)。
わたしのことではなく、あなたのことでもなく、「外部のこと」を話そう
前作で「内面(だけ)で書くのは悪手」(意訳)ということに続いて、「どうでもいいことを話す」のが会話する理由と言い切る。
つまり、「相手はあなたに興味がない」「あなたも相手に興味はない」からの「外部のこと」なのだけれども、背景というよりまず前提として「人間は会話すると、必ず傷つく」ということ。
とはいえ文章同様、当たり障りなく天気の話だけしていろという話ではなく、会話におけるロゴス(ロジック、論理構成)、パトス(パッション、情熱、心)、エトス(倫理、哲学)について「エトスなき会話は虚しい」。「相手は、あなたの人生の目的を、哲学を感じたいのだ。」
ふざけているようなダイアローグの合間にこういうのがすっと差し込まれてくるので本当に油断ならなくて、直近で出版された第3作も買いに走ることになる。
「会話はテクニックではない」と言いながらも、留意点として会話の始め方終わり方、よくあるオチやツッコミ、リアクションというスタイルの誤解、勘違いについてや自分の機嫌を保つことの重要性、距離感問題について、と提示されてるポイントがいちいち身に刺さる。自分もずいぶんとこれまでしくじってきた覚えがありありすぎて。
自分がするべき仕事をしたり、自分にしかできない能力を発揮すれば、他人が距離を縮めようとしてくる。そうなればあなたが応じるか応じないかを決めることができる。それが主体的に生きるということなのだ。
人との距離は、じつは自分一人で自分を磨いてつくるものなのだ。
そういう会話ができるようになれるかは厳しいかもだけれど、時々見返して読むべきコトバに今年は早々に出会えたような気がする。
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