
中村屋の博多座への出演は7年ぶりだそう。昼の部の「福叶神恋噺」は去年5月の歌舞伎町ミラノ座での公演でまだ記憶が新しいこともあって夜の部の「怪談乳房榎」の方へ。これも大阪松竹座で四代目猿之助が色悪でのキャスティングを遠征して観にいったやつ。確認したら2017年5月だった。
今回も成駒屋から橋之助、福之助の兄弟、そして出番は少な目だけど澤瀉屋からの猿弥さんが夜の部に出演。
この日のお弁当は花幸の「賑わい」。思いがけずラスイチのを買ってしまった。’かべす’については博多座はまずハズレがない。ロビーに食事スペースもゆったりあるというのに、ついこれまでの習性で座席で食べてしまう。しかも時間を勘違いして1回目の休憩で広げてしまったので実はまだ5時前だったんだけれども、おいしくてぺろりと平らげてしまった。午前中から母の用事につきあって昼は2時頃だったというのに。

この日も引き続き梅雨はどこへ行ったのかという日差しだけど湿度はしっかり梅雨のそれ。午前中の外出からの夜の部という流れで着物は諦め。根性が足りぬと言えばそれまでなんだけれど、汗だくの不快感で舞台に集中できないという本末転倒は避けたいし。実際半袖開襟ブラウスでも席についてしばらく汗が引かなくて鞄に放り込んでいた古い扇子がフル稼働、念のためのカーデガン出番なし。
引越前後のどさくさからの着物復帰はこんな調子で一体いつになることやら、と思う反面、いよいよ着物なんて着る余裕もなくなるであろう予感も薄々あってのこれまでのキモノ活でもあったかなぁとも。


この日もいつもの3階席だったのだけど、隣の隣席のTシャツ短パンのおじさんのTシャツが「えんゆか」のクラファンのやつだったので、思い切って声をかけてみる。果たして「中車だって歌舞伎には出演しているんだから、客が納得で見に来る分にはいいと思うんですよね。あれだけの役者が舞台に出ないのはもったいなさすぎる」という猿之助復帰待望の同志ではあった。そうは言ってもさすがにあの事件は中車のそれとは比較にならないほどに扱いが難しいだろう。でも、それを置いてもまた舞台で彼に会いたいという気持ちは彼の芝居を観てきた人からは消えることはないのだと思わせるだけの仕事を、襲名以後の10年余り全力疾走でやってきた役者なのだ。
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