新派でなくて歌舞伎の乱歩。

遊びをせんとや

博多座二月花形歌舞伎。

歌舞伎座猿若祭から続けての観劇記録になるけれど、日々の生活のことでいろいろ蒸発していく前の備忘ということで先に記録。

江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやかしのかぎつめ) 明智小五郎と人間豹

2008年初演の高麗屋による新作歌舞伎。現幸四郎丈の発案で江戸川乱歩の「人間豹」を元に時代設定を昭和初期から幕末に移し替え、白鸚丈が九代琴松として演出した作品ということ。今回は幸四郎・染五郎と代替わりしての上演。染五郎くんは博多座初出演なんだそう。意外。

一応は武家の若旦那であったのに勤めには身が入らず芸事ばかりに現を抜かす神谷芳之助は商人の娘於甲を上野不忍の逢引き茶屋で待つ間、通りがかった夜鳴き蕎麦売りの男と世間話をする。男は想う女は百日通って必ず者にしてきたという。やがてお甲に会うも束の間、芳之助は火急に家に呼び戻され、その後お甲は獣に咬まれたような傷を肩に負って斬殺される。

その後仕事も失った芳之助は鼓の師匠で食いつなぎ、お甲と瓜二つのウズメ舞の女役者お蘭とよい仲になる。そのお蘭に百日近くにわたって生きた鯉が送りつけられていることから明智小五郎はお蘭がお甲殺しの犯人と同一犯に狙われているのではと怪しんで警戒するが、やはりお蘭も百日めに舞台の最中に斬殺されてしまう。

さらに次の標的が同じくお甲、お蘭の面差しに似た明智小五郎本人の妻お文と知った明智は、一連の殺人の犯人である人間豹・恩田乱学と真っ向対峙する。

お甲・お蘭・お文の三役が春猿さんもとい河合雪之丞というのも嬉しい配役。新派の黒蜥蜴、また再演してくれないだろうか。

そして染五郎くんはもう少年からすっかり大人の役者。宙乗り演出も、毎年八月納涼歌舞伎での澤瀉屋タッグでの弥次喜多公演の流れがここにも息づいているような気がして、よかったと思う反面あらためて四代目猿之助の不在を考えてしまう。

鵜の殿様

山川静夫原案・西川右近作・振付。

古典かと思ったら、意外に新作の狂言仕立て。大名が染五郎、太郎冠者を幸四郎。腰元の鮎の踊りもぴちぴちかわいい。

親の箪笥から持ち出して東京に連れ帰って仕立て直したキモノ、またぼちぼち福岡に持って帰りつつあるのだけど、いろいろ抜け漏れで伊達締の数が足りなかったり、合う帯締なかったり。

タオル補正は省略せずちゃんとやった方が収まりいいということを痛感。

帯揚げはこの日はうまくいったつもりでいたのに、後で写真で見たら片方捩じれてるのに気づくとか。

いろいろまだまだ。

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