気くばり以前の自己肯定。西村僚子『気くばりこそ最強の生存戦略である』

気になる本棚

1ヶ月も更新さぼってたらその間読み終えた本の備忘録もどんどん溜まる。

高校生のとき、NHKのアナウンサーの方の書かれた「気くばりのすすめ」という本がベストセラーになって、両親のどちらかが買ったんだかどこからか回ってきたんだかで家にあったのを読んだことがあった。内容は全く覚えていない。

ただ、覚えているのはその本を読んだと学校で同級生に話してたところ、突然たまたま近くにいた国語教師に「そんな本は読まなくていい」と思いのほか強めの口調で叱責された、という記憶。

何をもってその先生がその本について否定的であったのかも分からない。失礼な話、先生の名前すら、いまどうしても出てこない。別にそのことのせいでもないんだけど、その頃からすでに「気くばり」という行為についての自分の苦手意識は確立していたと思う。

自分なんか周りに「気くばり」しようにも何をしてもまず裏目に出るだけで、結果そういうことしない方がマシなタイプなんだろうという諦念とともに、何十年と生きてきてしまった。

世界には2種類の人間がいて、自然に気くばりができてうまくやっていける人と、そうでない人と。そんな風な世界観になっていたかもしれない。

たぶん「気くばり」というキーワードだけだったら自分はこの本を手に取ることはなかったと思う。だけど「気くばりで何よりも大事なのは自己肯定感」の一文で急に、なんで今まで自分が何かと人間関係をこじらせ気味になりやすいのか、急に分かったような気がした。さすがにここ10年くらいは距離感を保つということで衝突を回避する術も多少は学んできたけれど、でも結果としてそれで充分だったかといえばやっぱりちょっと違うという気がしている。

次いで触れられる「ジョハリの窓」の概念もすでに知っていたことのはずなのだけど、あらためて自分自身に当てはめるとその通りで、自己肯定感が低い→自己開示下手という指摘そのまんま。

著者の西村さんは二元論でいうと前者の自然にこれができちゃう人には違いないのだけど、自分のようにそうでなかったタイプであってもひょっとしたらより円滑に人間関係が構築できる世界線を垣間見ることができたりするんじゃないのか、と思わせてくれる1冊。

急に後ろから叱ってくる人も、たぶんもういないと思う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました