去年に引き続き、新春浅草歌舞伎。松也、歌昇、巳之助、新悟、種之助、米吉、隼人、橋之助、莟玉の以上7名ご卒業ということで。実際皆さんもう若手というよりはしっかり花形だもんねぇ。
本朝廿四香(ほんちょうにじゅうしこう)十種香
意外と上演が少ない演目な気がするのだけど、一昨年二月歌舞伎座にてかかってたし、なんなら自分観に行ってた。その後の演目「泥棒と若様」の方の印象があんまりよかったんですっとんでた(失礼すぎ)。
長尾謙信を父に持つ八重垣姫は幕府の調停で武田勝頼の許嫁となるも、その勝頼は将軍暗殺の濡れ衣で自害に追い込まれることに。切腹したと伝え聞くその絵像を仏間に掛けて香を焚いて菩提を弔っているところに、「宝性の兜」の行方を追って潜入した実物の勝頼の姿を目にして一気に恋慕の火力マックスに、という話。近松半二・三好松洛合作、1766年大阪竹本座初演。
この場面だけだと正直、物語が入ってこなくてきれいな赤姫愛でるくらいしかないのだけど、赤姫については円熟味よりも旬の花形さんが演じてる方が個人的には好き。ということでぴちぴちフレッシュな米吉くんの八重垣姫はご馳走様でした。といっても米吉丈とてもう30でまぎれもなく中堅に入ったのだけど。
与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)源氏店
一方。婀娜な姿のお富さん、は逆にもう少々薹の立つくらいがと思うのだけど、これも引き続き米吉さん。八重垣姫とは打って変わっての婀娜な色気。女形というより子方の雰囲気を残したちょっとたれ目なぽんたちゃん、なんてイメージはどこへやらで、だからこそもう浅草は卒業でもあるのかと。
すれ違って互いに一目惚れの恋に落ちて滅多切りの傷を受けた与三郎と、逃げて木更津の海に身を投げたはずの深川芸者から木更津の親分の妾であったお富が、ひょんな偶然から再開の場面。三世瀬川如皐 作1853年江戸中村座初演。
蝙蝠安を松也、切られ与三が隼人。隼人の二枚目は安定だけど、松也さんは松也さんで本当に変幻自在な役者さん。中堅として名前で企画と客寄せした上で後輩を引っ張ってくという四代目猿之助がここまで担っていたポジションをこの人が踏襲しているのかなという気がする。
神楽諷雲井曲毬神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)どんつく
1846年市村座初演。巳之助荷持ちどんつく、歌昇親方鶴太夫。玉入れ芸お見事。お正月らしい楽しい舞踊劇。
例によって今回も3階席。
お弁当は中の売店で迷っていたら目の前で牛肉弁当の最後の1つが売れてしまったのでその隣の天丼買った。胸やけした。分かってはいた。でも完食。
歌舞伎に通うようになってたかだか10年足らず、都内すべての公演に足を運ぶとか、ましてや同じ公演をリピートで観に行くとかいうガチのファンでもない。演目と配役によっては先月みたいに歌舞伎座の3部公演+新橋演舞場、なんてこともあったけど、でも今月はこの浅草の、昼の部一公演のみ。歌舞伎座に行かない月だなんて、そもそも何か月ぶりだろう。
芝居見物からはすっぱり足を洗います。と宣言して断つつもりもなく、2月の歌舞伎座、博多座はすでにチケットも抑えている。博多座については実は最初に買った日の都合が悪くなって他所に譲った上で買い直しすらしてたりで。その上今月についても新国立劇場の安い券が出たという情報をうっかりキャッチしてしまってこちらも行ってみることにしてしまったり。
機会は減るのが必定だけど、まだまだ煩悩は続く見込み。
この日のキモノ。
一昨年身丈ジャストサイズをネット上で見つけて衝動買いしたリサイクル江戸小紋、色も合わせやすいしこれはいい買い物だったと今更だけど思った。
これに臙脂の葡萄柄の長羽織を重ねるつもりでいたけど、邪魔になりそうなのでウールのショールを巻いて出かける。案の定帰り道は暑くなってしまってショールもアームカバーもみんな外して歩く。
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