まだ残ったままの違和感と。

日々のぼやき

叔父の一周忌法事。家業の関連の会社の方が4名と、地元の係累ほど10人余りで従弟宅(母実家)の仏間にて。

去年の葬式でも十分そうだったけど、従弟がきちんと取り仕切っている姿にいよいよ代替わりという雰囲気。跡取りという立場で育てられた子でもあるし、こういった場での気の配り方などとても真似できるものではないと思う。

15年前祖母が亡くなって以降はとにかくいろいろあって、親族側の出席もかなり少なくなった。「年を取るってなんだか悲しいねぇ」とS家の従妹がつぶやく。彼女はまだ自分よりも7つも年下なんだけども、言わんとすることは分かる。15年の間に本当にいろいろなことがあり、人が減っていった。

本当は早々に入院した方がいい状況の母、親戚ではないのだけど母共々叔父とも仲良くしていたR子さんも3日前から来ている。

以前長く住み込みで働いていたN子さんが通いで戻ってこられたのも確かこの15年くらいの間のこと。この日は前の日から自ら申し出て泊まり込みしている。

そして、来ないでくれればいいのに、と実は密に思っていたけれど、そろそろ仏間へ移動しようかという段になってやっぱりY子さんが姿を現す。

このY子さんというのが叔父は叔父の最晩年のガールフレンド。去年叔父が出かける支度の途中で亡くなっているのを見つけてくれたのもこの人ではあるのだけれども、悪い人ではないのかもしれないが所謂クレクレさん。港区女子みたいな高級ブランドではなくて、贅沢志向の叔父の食品や服といった日用品の買い物に便乗して自分の買い物カートいっぱいに買い物したり、タクシー代を払わせたりというようなタイプ。断ってもかなり強引な態度で押し切ってくるようになって、さすがの叔父も一時期はこの人と距離を置こうとしていたらしい。それでも叔父の出かけそうな曜日に待ち伏せしていたりで、根負けして結局最期までなぁなぁつきあっていたらしい。

さらに彼女一人ならまだしも、昔からの親族ほかのごく内輪の正月の集まりになぜか彼女の姉家族まで叔父の家に呼び入れてクレクレ発動したり、叔父の死後も勝手に家に上がり込んできたりしているものだから、さすがに母にも叔母にもさらにR子さんからもよく思われてはいない。歴代のガールフレンドもいろいろいたけども、ここまでの人は過去にいなかった。

ほぼ接触のない自分にまで愛想よく話しかけてきたりだけれど、自分はこの人に対してどう接したもんか非常に戸惑う。自分に全くない人当たりのよさは尊敬すべきだけど、一方で、にも関わらずこの人女友達いなさそうだし同年代の男ともつきあわなさそうだな、とか。

そんな中なぜか唯一彼女を娘かと思うくらい可愛がっているのがN子さん。叔父は仕事の関係の人を自室で接待することが多かったので、そういう場に彼女もいて細々お酒を造ったり後片付けしたりということをよくしていて、叔父と同じ年齢のN子さんも身体が利かなくなっているのでそういう彼女を重宝していただろうし、他にもたぶんこの家にとっては親族や姻戚という訳ではない立場として心情的に通じるものがあるのかもしれない。

何より従弟の立場としてはどうなのだろう。彼女についてはおそらく勤めて好悪は一切出さないようにしているように見えるけど、ともすればまるで内縁の妻であるかのような振舞を見せるほぼ自分と年齢の変わらない彼女のことは扱いづらいことだろうとは思う。今回だって法事に読んだのは従兄の意思というよりN子さんではないだろうかという雰囲気。「Y子ちゃんに服ばやらんとね」というN子さんの声が聞こえる。おそらくは叔父の形見分けということなんだろうけど、従弟はその件聞いているんだろうか。聞いていたところでいろいろ断れなかったのかもだけれども。

法事の後の食事が始まってもお酒だのつまみだとこまめに席の間を回る彼女の存在が去年の葬式の時同様に落ち着かなくて仕方なく、そろそろ解散という段でみんなが玄関でわやわやしているその脇を、その例のY子さんの姉家族が勝手口から叔父の部屋にすり抜けて上がっていくのを見てしまうとやっぱりなんだか変な気分。

そもそも現当主たる従弟が何も言わず母や叔母も敢えて表立っては言わない以上、ましてや自分はどうこう言う立場にもなければ逆にもし自分が彼女のような立場だったらとか考えるだけ無意味な話で。

猫が鞄を漁りたがるくらいは微笑ましいもんだけれども。

来年は祖母の十七回忌と叔父の一周忌をまとめてやろうかと従弟が言っていたけど、その頃にはいい加減そんなもやもやも何かの形で晴れているのだろうか。

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