【映画】90歳。何がめでたい

遊びをせんとや

今回も他人チョイスの作品へのおつきあい。先月「ディア・ファミリー」を観て以来ららぽーとTOHOシネマのシートが気に入ってしまった母は昔からの佐藤愛子さんのエッセイのファンでもあり、こちらの映画もまたあの椅子で観たいと言うことで、手術から2週間後の経過診察の後に寄ることに。

母の本棚にあった「娘と私」シリーズ、元々は当時のNonnoの連載だったと思う。自分より少し年上のお姉さんであるキョウコさんが当時女子に大人気だった外タレロックバンド(バンド名は失念してしまった)のコンサートに出かけたりするエピソードを羨ましく背伸びして見てる、そんな小学生だったよ自分も当時は。

最期の小説として「晩鐘」を上梓後断筆宣言をした作家佐藤愛子(草笛光子)。90歳を迎えさすがに自身の老いの現実を日々直視することになり、娘と孫(真矢ミキ・藤間爽子。娘婿は単身赴任中の設定)と同居はしていてもどこか満たされず孤独感が募り、毎日に張り合いを感じられず次第に鬱々としてくる日々。

一方で編集者吉川真也(唐沢寿明)は昭和気質そのままの振舞いを職場からパワハラ・セクハラとして煙たがられてある日謹慎の処分後元の部下の配下に異動させられる。同時に家庭を顧みない働き方のつけが溜まって嫁と娘も犬を連れて出て行いっていく(実は妻は佐藤愛子の言葉に触発されるように夫からの決別と自立の意思を固めていっていく)

吉川は配属された編集部にて佐藤愛子への執筆依頼の企画が持ち上がる。若手編集者(片岡千之助)が依頼に尋ねるが断られ企画廃案になりかけたところを吉川が自ら挙手、猛アタックで愛子の連載を勝ち取る。

作家と編集者のぶつかり合いを重ねるうちに愛子も仕事を再開したことで次第に自身に活気を取り戻し、現代の風潮について忖度なしの一刀両断な文章は世の中に広く受け入れられ、書籍はベストセラーとなっていくが、一方吉川のプライベートでの家族との溝は深まる一方。愛子は「器の小さい男!」と言い捨てながらも彼を見守ってそっと寄り添う。

90歳を迎えた草笛光子さんが演じる佐藤愛子、凛々しくもチャーミング。そりゃこんな90歳は特殊兌換ねー、とは思うけど、それでも弱っている場面で見せる「老い」の演技もまた身につまされる。隣でポップコーン(塩分!)食べてる米寿の親に、できるだけやさしくしよう。そう思わせてくれる映画。

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