そのうちいつか。堀川恵子「透析を止めた日」

気になる本棚

書店でもよく平積みになっていて気になってはいてもすぐに手を出そうという気にはなかなかなれなかった1冊。

この本が出たのは実母が夏に血液透析を開始してから数か月、それまでの腎不全特有のだるさや息苦しさから解放されて体調もちょうど落ち着いていた頃。もし手術前にこの本読んでいたとしたらいろいろ選択肢は変わっただろうかというと、血液透析よりも腹膜透析(PD)をもう少し強めに押してみたかもしれない。病院でも一応の選択肢としてはPDも提示されていて母本人の選択で血液透析となったのだから結果的には同じだったかもしれないけれど。

本の構成は第一章が著者の夫である林新氏との闘病記。30代から発症した難病による腎不全を抱えながらNHK映像ディレクター、プロデューサーで、同業から後にノンフィクション作家となる著者との闘病は、単なる二人三脚ではなくそこに障害物というかトライアスロン全力疾走的な。透析、腎臓移植と肝臓移植、再度の透析に最後、透析を止めるという本人の決断とその最期で章が括られる。

第二章は他の人のケースを取材しつつ、日本での人工透析や緩和ケアを廻る医療システムの現状について。なぜPDが主流にはならないのか。なぜ緩和ケアはがん患者のみが対象なのか(これは知らなかった)。患者が人としての尊厳を保って死を迎えるというのはどういうことなのか。状況を変えていこうと現在進行形での医療従事者の取り組みについて。

透析の最期について。いずれはどうしても直面しなくてはならないこと。これまでPDから血液透析への移行はあっても逆はないという理解でいたのも確認しないといけないし(個別の条件によるのかもしれない)、自分としては今、読んでおけてよかった。

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