諸般の都合で封切りから1ヶ月近く経過してしまった。映画自体が3時間超え、映画館までの行き帰りの時間を勘定すると4時間弱。歌舞伎を通しで見るよりはまだ短くはあるのだけど。今回一緒に行きたいという話になった人との都合で今日になる。
SNSでも誰か言ってたけど、観ている間3時間という尺を全く感じさせない一本。観劇道楽は今後そこそこに、という決意がまたしてもここで削がれる。歌舞伎座の、松竹座の、南座の特に3階席からの眺めがとにかく恋しい。
で、以下見ながらの感想。
- 冒頭の長崎の宴会シーンの会場いっぱいに並んだいくつもの円卓が、いかにも長崎。
- 公演直前に自動車事故に遭ってしまった渡辺謙の代役での曽根崎心中のお初。物語の展開の重要なターニングポイントなんだけれども、まず渡辺謙が演じるはずだったお初という配役がどうにも想像つかない。まず上方歌舞伎というイメージが渡辺謙さんにはなくて、むしろ荒事の方が絶対ニンではないか。
- 入れ墨背負って梨園の妻となった春江の、心の機微の描写は後半ほど控えめになるのだけど、きっとそれだけで1本別の物語として成立してしまう。
- 喜久雄と春江の長崎弁も早々に上書きしてしまう大阪弁の威力について。そんでも大阪(もしくは関西)ネイティブにあれは違うとか言われそうだとかいうのはもう映画とは何の関係もない話だが。
最後のは特に、どれも映画そのものの本筋とは本当に関係がないことばかりの感想を書き連ねてしまったが、映画の圧巻はやはり舞台シーン。舞踊家である田中泯さんはともかくとしても(それでも鷺娘さぞかし大変だっただろうと思うのだけど)、日本舞踊の畑でもない(であろう、知らんけど)主役二人の修練たるや。
映画から帰宅して間もなく、夫から1日の食べたもの報告メール(別にこちらが毎日報告してこいとか言った覚えは全くない)が届く。今日は映画を観て今帰ったと返信したところ、「宣伝をちょっとだけ見ました。2人の若者がっていうやつだよね」と。
昔からカースタントやアクション映画にしか興味がないのは人の好き好きだから別にいいとしても「2人の若者が」というフレーズだけでこの映画を指そうとするのは、誤りではないんだけどやっぱなんか違うんじゃないか。
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