この本もまた、買ってきてから長いこと本棚に積んだままになっていたのをようやく先日読了。
当初本当に一般でいうところの事務の話かと思って手にしたのだけれども、かなり違う概念の内容だった。
そもそもあの「0円ハウス」の人だもの、ありきたりの発想であるはずはないのだけど。ありきたりとありきたりを突き抜けるための個人的なシステム化のことを「事務」と呼んで扱っている本。
何かしら作る人間にはなりたい、会社には入りたくない、自由に生きたいと思いつつ、どう実現すればいいのか。そのツールを「事務」として、建築家を卒業して無職の状態の若き日の’僕’に、国籍不明の居候の事務員’ジム’が手ほどきをして、一見途方もない「芸術家になる」という道筋を現実化していくという物語仕立ての前半部と、後半は糸井重里氏との対談の構成。
なんだかんだ、坂口氏のような人でしか成り立たないよね、という、一見荒唐無稽のようにも見えなくもない。それでも「《事務》の仕事で一番重要なことが《スケジュール管理》と《お金の管理》」だという、実にまっとうな理論建てがそこにあって、つい自分のような凡人であってもこれは使えるのではないか、という気になってくる。
ちなみに過去何かの折にこの人の本について触れると、「なんのために」とか「意味が分からない」とか、割とストレートに即拒否反応を出された体験が一度ならずあって。誰にでもその人の趣味やセンスの合う合わないはあるので、興味ない話振っちゃってごめんね~とそこはすぐ引っ込めてきたけれど。他のことではそこまで話が合わないということは感じていなかったのだけど、無意識に何か埃でも振り払うかのようなスルー具合に、なんでこの人には刺さらなかったのかとちょっと後で考えてみたりもしたり。
誰もがこの人のようにはいかなくても、常識的ににムリ、と最初から却下してきたことの突破口にこの「事務」という手法は有効かもしれない。そうすれば世の中はもっと楽しいことが増えていきそうなのに。

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