村上龍氏の訃報。自分の乏しい読書歴的にはむしろそれに前後するように報じられた小林信彦氏の方について思う所あるはずなのだけれども。世代的にもインパクトとしてはどうしても村上龍氏の話になってしまう。
SNSでもいろんな人がいろんな風に書いていて、そうだなぁとかそうかなぁとか。そのどれが正しくてどれがそうでないとか判断できるほどには自分は村上龍氏の作品その他活動をがっつり追跡してきているわけでもなし。
「いくつか読んでみたけどなんだかよくわからなかった」と言ってる母、たぶん春樹の方と勘違いしてそうな気がする。「ノーベルなんとか賞がほしい人だっけ」と言ってるN子さん、それはまず春樹の話だが、村上春樹氏自身が賞をほしいと言ってるワケではないのでは。
そんな身近の年寄連中の認識はともかく。
自分にとって村上龍氏の作品で一番印象に残っている小説は『69』。安直といえば安直な青春グラフィティではあるけれど。終盤の方で主人公とヒロインポジションの女の子がデートで映画を観に行くエピソード。うっかり観てしまったカポーティの「冷血」にドン引きしたヒロインが「自分は楽しいこと、幸せなことだけ見て生きていたい」的な台詞を主人公に向かって言うところ。あぁこうゆう子、いるよねぇ。てか女子の大多数がこのタイプだよねぇ。と、読んだとき思った。そしてこういうタイプの子が断然男子にもモテるし、大事に扱われるんだよね、と。
でも今になって、それって本当にそうなのか、とも考える。楽しいこと、幸せなことだけでふわふわ生きてたいと思う思わないに関わらず、ふわふわしたまま大人になって生き続けていけることなどかなり稀。主人公とヒロインもその後そのまま関係を育んで、というような筋書であるはずもなく。
その後に出た小説『トパーズ』『ラブ&ポップ』に出てくる女の子たちはまた全然別。前作と時代背景も、書かれている舞台も全く違うので、当然といえば当然なんだけど、なんだかもっとものすごく冷たい眼をした享楽主義者だったような気がする。昭和の終わりから平成の彼女たちは令和の今、いい大人の年齢となってどう生きているんだろう。
それら以前の『限りなく透明に近いブルー』『コインロッカー・ベイビーズ』についてもだけど、村上龍の小説の登場人物たちはどうも年を経たその後の姿があまり想像し難い。
現実を生きる身としては彼・彼女らのその後の世界も考えてみたくなる。

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